泌尿器科・外科 重野医院

浜松市の泌尿器科・排尿障害・ED・前立腺がん・尿漏れ・性病科 重野医院

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膀胱の機能障害

腹圧性尿失禁

「くしゃみや咳をした時」「重いものを持った時」「大きな声で笑った時」に尿が漏れてしまうという人がいます。また、縄跳びが出来ない、発車しそうなバスを追いかけられないという人もいます。これを「腹圧性尿失禁」といいます。
正常な女性の身体では骨盤の底はハンモックのような組織の筋肉で出来ています。その筋肉の膜を骨盤底筋といい、中を尿道、膣、肛門の3つの管が通っています。
おなかに強い力(腹圧)がかかったときに膀胱と尿道を支えて尿道がしまり、尿が漏れるのを防いでいますが、骨盤底筋や膀胱・尿道を支えるハンモック組織が弱くなったり、傷ついたりして、尿道や膀胱が不安定になると腹圧がかかったときに尿が漏れてしまいます。つまり、尿道を開閉する筋肉(外尿道括約筋)が十分にしまらないために尿失禁が起こりやすくなっています。
40歳以上の女性の8人に1人に腹圧性尿失禁はあるといわれます。加齢、出産、女性ホルモンの低下などが関係しています。
漏れる尿の量はいろいろで下着がわずかに汚れる程度から、一日に100mlも漏れる人もあります。
治療はまず、骨盤底筋体操を試します。意識的に肛門括約筋を締めることで骨盤底筋のハンモックを丈夫にすることが目的です。簡単な体操ですが毎日根気よく続けるのが大切です。体操の効果が出るまでには数ヶ月かかるので尿道を引き締める働きのある薬(β刺激剤)の内服と併用すると効果があります。
漏れる尿量が多い場合は尿道を吊り上げる手術やコラーゲンを尿道の周りに注入する方法があります。手術は比較的安全で簡単です。
ちょっとした動作で尿の漏れる人は1人で悩んでいないで、恥ずかしがらずに相談してください。

 

過活動膀胱

「トイレが心配で外出できない。」「夜何回も起きてしまい、ゆっくり眠った気がしない。」「外出するといつもトイレを探している。」という人は沢山います。専門用語では頻尿、夜間頻尿、尿意切迫、尿失禁といいます。
頻尿、夜間頻尿などはいろいろな疾患で見られる症状ですが、この中で「尿意切迫」が一番重要な症状です。
それまで何とも感じなかったのに突然尿意を感じ、我慢が出来なくて時には尿を漏らしてしまうというものです。
膀胱炎がないのに、尿意切迫がある場合を「過活動膀胱」といいます。
聞き慣れない病名だと思われますが、これは2002年に国際禁制学会で定義づけられた疾患です。
それまでは脳梗塞、脳出血などの中枢神経の疾患、脊髄損傷や脊髄腫瘍などの脊髄疾患、糖尿病などの末梢神経の疾患の場合に起きる膀胱の尿を貯められない状態や意のままに排尿できない状態を神経因性膀胱として研究してきました。ところが最近になって、神経系の病気ではないのに蓄尿機能に異常がある場合があることが分かってきました。
たとえば、前立腺肥大症では尿が出にくいという排尿障害に加えて突然排尿したくなるという症状もあります。
女性でも急に尿が出したくなり、我慢が出来ず、思わず少し漏らしてしまう人が沢山あることが分かってきました。
このような状態は膀胱の排尿筋が勝手に収縮してしまうので起きてきます。
神経因性膀胱の診断には尿流動態検査という検査が必要ですが、一回に何時間もかかる厄介な検査です。
そこでそんな厄介な検査は省略して治療する方法はないかと考え、症状をよく吟味し、検討することで診断する方法が確立されました。
難しい検査をしないでもちゃんと診断し、適切な治療をするには患者さんの症状をよく聞く必要があります。
過活動膀胱の症状の中で一番大切なのが尿意切迫です。
「尿意切迫と頻尿があり、それに尿失禁も伴うかもしれない」というひとで尿検査で血尿や膿尿のある人は尿路腫瘍や感染症の有無を調べます。尿検査で異常のなかった人には残尿(排尿後に膀胱に残った尿)を調べます。(超音波エコーで簡単に検査できます。)
残尿が少なければ抗コリン剤を使って治療します。残尿が多ければ前立腺肥大症などの排尿障害について検討します。実際に診療していると頻尿、夜間頻尿を訴える人でも尿意切迫のある人は非常に少ないと思います。薬屋さんが宣伝しているほどには多くはないと感じてます。

 

おねしょ

「おねしょ」ここ数年間はあまり多くなかったのですが昨年あたりからまたおねしょを治したいといって相談に来られる方が増えてきました。相談に来る子は小学校2年生と4年生が圧倒的に多いようです。2年生は小学校に入って1年経って下級生が入ってくるのにまだおもらしをしていると心配し、4年生は宿泊訓練でよそに泊まるのでみんなの前で恥をかかないで済むようにと相談にきます。極端な例は「2週間後の宿泊訓練の時だけもらさないようにして欲しい」というものもありました。
夜尿症の頻度は意外と多いものです。4-6歳で9%、7-9歳で6.5%、10-12歳で2.3%に見られます。1年に15%ずつ治り、25歳までにほとんどがよくなります。
乳児期から引き続いているタイプ(一次性夜尿症)と一旦なくなった夜尿が何かのきっかけでまた出てきたタイプ(二次性や尿症)があります。両親が夜尿症だった児には60%も夜尿症があるのに、両親ともに夜尿症がない児は8.3%しか夜尿症はないことから、遺伝的、体質的要因が関係しているのではないかと言われています。私は夜尿症の児は一人っ子や末っ子が少なく、患児の2-3歳下に弟妹がいる児が殆どなので、おむつをはずしてトイレトレーニングをする時期に両親の関心が下の子に移ったためにおもらしを続けてしまったのではないかと思います。
夜尿症は病気ではなく、「感心できない習慣が身についてしまった。」と思って、「怒らず、あせらず、夜中に起こさず」に気長に見守ることが大切です。しかし、規則正しい生活リズムが大切です。
夕飯には腹八分で薄味で水を飲まなくてもよい食事を用意してください。入浴後の着替えの準備も自分でさせ、失敗して汚したものの始末も自分でさせます。お母さんがゆったりとかまえて、「おねしょの始末はあなたの仕事よ」と本人に任せていると自然に治っていきます。たった一つ非常に効果のあがる訓練は昼間尿意を感じたときに15分間おしっこを我慢させることです。尿意を我慢することを覚えるのが大切のようです。