泌尿器科・外科 重野医院

浜松市の泌尿器科・排尿障害・ED・前立腺がん・尿漏れ・性病科 重野医院

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尿路感染症

膀胱炎

泌尿器科を訪れる疾患で一番多いのが膀胱炎です。女性に多く、男性では急性膀胱炎は珍しく、前立腺肥大症などの尿の通過障害が原因の場合が多いので考慮にいれて診察します。排尿痛、頻尿、尿混濁が三大主徴と言われています。排尿痛は排尿の後に少ししみる程度から頭の芯まで響くような痛みを感じるまでいろいろあります。頻尿はトイレから出られないほど激しく尿意が襲うこともありますし、夜一睡も出来なかったという人もいます。
尿混濁は白く濁ってもあまり気にしない人が多いのですが、血尿になると心配して受診する人が多いようです。小児、特に男児の膀胱炎は強い血尿で始まります。膀胱炎は膀胱の粘膜に主に大腸菌などの細菌の感染で炎症が起きるものです。女性の尿道はわずか4-5cmしかありません。しかも尿道口が膣や外陰部の近くに開口しているので細菌が尿道から膀胱に逆流しやすくなってます。
治療に大切なのは1.水をたっぷり飲んで尿量を増やすことです。自分の尿で細菌を洗い流すのが大切です。尿が薄いと排尿時の痛みも軽くなります。
2.治療には抗生物質や抗菌剤が使われています。薬は決められた量をきちんと飲んでください。飲み忘れたり、勝手に薬をやめると弱った細菌が元気になってしまいます。また、よく効く薬だからといって保管しておいて、悪くなったら飲もうという人がいますがやめてください。本当に悪くなったときに改めて処方してもらってください。
3.お風呂で体を温めましょう。体を冷やさないようにと厚着をし過ぎると新陳代謝を悪くするのでほどほどにしましょう。
4.陰部は清潔に保ち、オムツをしている人は吸収性の良いものを選び、適度に代えましょう。

 

淋菌性尿道炎

現在一番多い性感染症はクラミジアと淋菌性尿道炎です。女性ではクラミジアの方が多いのですが男性は淋病が多く受診します。男性は尿道炎ですので、尿道口が腫れ、膿が出て、強い排尿痛があります。とても我慢が出来なくて医者を訪れざるを得ません。それに比して、女性は膣炎ですから、膿性のおりものが出るだけで痛みがないので気付かないからだといわれます。
また、風俗店などで感染した口腔内の淋病は殆どが全く無症状です。抗生物質がなかった時代は淋菌性尿道炎は治り難い病気で排膿が何年も続きました。遊郭で働いていた女性の30%は淋菌性腹膜炎で亡くなったといわれています。夫にうつされた淋病で子供が産めなくなり、発奮して日本の最初の女医になった荻野吟子さんの話は有名です。
第二次大戦後、ペニシリンが発見されてから、淋菌には素晴らしい効果がありましたが、やがてペニシリンの効かない耐性菌が出現しました。ペニシリンに代わってニューキノロン剤が使用され、極めて優れた効果が認められました。ニューキノロン剤はクラミジアにも有効なので尿道炎治療の第一選択剤になりました。
しかし、現在はこのニューキノロン剤も効かなくなった淋菌が殆どです。日本では健康保険で薬剤の一日使用量が厳しく制限され、少量の抗生剤を長時間服用させています。患者さんが指定された日数きちんと服用すればよいのですが、症状がなくなると服薬しなくなるので完治せず、耐性菌を増加させるのです。
アメリカでは海外に派遣された兵隊が国内に性感染症を持ち込まないように帰国前に大量の抗生剤を一回投与する方法をとり、成功しています。これだと耐性菌も出来にくいのです。日本でも最近は淋病もクラミジアも一回投与で効果がある方法が主流になって来ています。

 

クラミジア感染症

先月性感染症全般について書いたら、いろいろ質問がありました。そこで今月はクラミジア感染症について取り上げました。
クラミジア感染症は妊婦検診で3-5%の感染者が発見されるくらい多い疾患です。第二次大戦後学童に流行したトラホームという眼の病気が、実はこのクラミジアだったのですが当時は病原体も治療法もわかりませんでした。
クラミジア感染症はクラミジア・トラコマチスという病原体による感染症です。クラミジア・トラコマチスは細菌より小さく顕微鏡では直接見ることが出来ません。最近では核酸増幅同定検査(PCR法)で検出できるようになり、尿のなかに2個の細胞があれば陽性に出ます。性感染症ですから主に性行為で感染します。当然、オラール・セックスでもうつります。
症状は男性は尿道のかゆみ、排尿痛、粘液様の膿などがありますが、女性には粘液様のおりものが多少増えるのですが痛みなどの自覚症状が殆どなく、感染していることに気付きません。しかし、子宮頚管炎を起こし、やがて子宮から腹腔へクラミジアが入り、腹膜炎、骨盤内炎に発展します。近年の若い女性の腹膜炎・骨盤内炎の大半がクラミジア感染によるものと言われます。また、卵管炎の結果、卵管の狭窄や閉塞をきたし、不妊症や子宮外妊娠の原因になります。男性は症状が出るけれど、重篤な臓器への障害はないが、自覚症状の少ない女性に重篤な結果をもたらす疾患です。
さらに、クラミジア子宮頚管炎を有している女性が分娩すると生まれてくる産児がクラミジアに感染し、結膜炎、咽頭炎、重篤な肺炎などを起こすことがあります。
クラミジア感染症があるとHIV(エイズ)に感染しやすくなります。必ず治療してください。クラミジア感染症は内服薬で治療できます。早めにパートナーと一緒に治療してください。